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2008年12月 7日 (日)

派遣切り

 出版社で派遣のレイアウターをやっていた学生時代の友人が
、契約期間をあと4カ月残して首を切られました。

 数年ぶりに連絡を受け、「何か仕事ないか」と聞くので会い
ました。

 でも、こちらも採用抑制中。
 派遣さんは1人消え、2人消えの状態です。
 とても新しく雇うどころではありません。

 家族とローンを抱えて困っている。
 なんとしても、今年中に仕事が欲しい。

 そう言われても、空きがないものはない。スマン。
 答えると、では金を貸してくれと言われました。

 友達をなくすことになるので、金は貸さないことにしている
というと、彼、キレました。

 「出せよ、正社員。金あんだろ?」というので、私も頭に血
が上りました。

 コーヒー代は出すつもりでしたが、強盗まがいの言いぐさが
気にくわない。
 自分で払えと言って、席を立ちました。

 辛いときに支えるのが真の友人、とわかっていても、めった
に会わない相手にどこまで寄り添ったらよかったのか。

 いずれにせよ、縁を失ってしまいました。

 帰り道、つらつら思い返しました。

 「一つの会社に縛られたくない」と言って、派遣を選んだの
は彼ではなかったか。
 転職も転社もしないで働き続ける我々友人を「時代遅れ」と
蔑んだのは、彼ではなかったか。

 派遣だろうと何だろうと、その勤め先が不可欠だと思うスキ
ルを身につけさえすれば、どこででも食っていける。
 一つの企業でずっと働くなんて、自分が無能だと言ってるよ
うなもんだ。

 そう、豪語していたはず。

 とらばーゆだ、デューダだ。
 時代の先頭を走っていたはずの彼の零落ぶりは、見ていて痛
々しいものがあります。

 将来の夢をめぐって、学生時代、彼と話しました。

 派遣は確かに働き方の自由というメリットはあるが、調整弁
として使い捨てられる危険性もある。
 転石こけむさずという格言もあるじゃないか。

 とにかく、コメを食っていくのが最優先だった私にとって、
一匹狼になるほうがかっこよく、だれでも起業や転職が可能で
あるかのようにたきつける時代の流れは、どこか作為的なにお
いがしました。
 ただ彼は、そう言う私を、大艦巨砲主義だ、寄らば大樹の陰
的な生き方はしたくないというばかりでした。

 派遣の働き方は、私にしてみれば、若く、時給も安く、自ら
を守る法律もろくに知らず、プロパガンダに踊らされやすい若
造を、安い労働力として搾取するために、頭のいい手配師が考
えたものとしか思えなかった。

 たとえてみれば、日本最大の日雇い労働者の街、大阪・釜ケ
崎の労働形態を、日本中に広めたようなもの。
 いったん派遣で働き始めると、正社員として身分保障されな
い限り、派遣の労働サイクルから脱却できない。そして、その
チャンスはめったにありません。

 結果として、釜ケ崎の労働者と、同じ境遇に立たされること
になってしまいます。

 だから、どこかで破綻する。
 これは、一足飛びに外国人労働者を導入できない財界が考え
出した、カースト制だ。
 分断して統治しろ、は植民地支配の基本。
 金儲けしか頭にない連中が、戦後どうにか薄めることに成功
しかけていたこの国の市民の経済格差を再構築し、一生奴隷で
居続けるしかない層を作るために考え出した悪巧みだ。

 乗せられるヤツはバカだ。
 大企業やゼネコン、政治家のガキが、派遣になるか。

 そう言うと、くだんの友人は私を「サヨ」と呼んだ。

 それから十数年。
 小生の職場にも、派遣さんは少なくない。
 だが、友人ではあっても、同僚としては見られない。
 なぜなら、負っている責任が全く違うからだ。
 同じ仕事をし、同じ責任があったとしても、「いついなくな
るかわからない」という人間に、業績に直結する判断を求める
わけにはいかない。

 そして現に、ある日突然、いなくなる。

 派遣には、だれでもできる仕事しか与えられない。
 時間と費用をかけてスキルを教えても、いついなくなるかわ
からないので、企業が重視するはずもない。

 派遣として働く背景は考慮されないのだ。

 景気がよくて、人手が足りない頃ならそれでも不安は覆い隠
されていた・
 だが、いま、歯車は完全に逆回転している。

 学生時代の不安が的中してしまったことを、心から憂う。

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受信: 2008年12月20日 (土) 10時29分

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