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2008年4月 6日 (日)

「靖国」とFX

 中国人の監督が撮ったドキュメンタリー映画「靖国」。
 上映館が自主規制したことを巡って、全国的な話題になっています。

 FXにも共通する、ある教訓が読み取れます。

 人間、見たいものしか見ない癖を付けてしまうと、必ず損するという事実です。

 見たくないものも見て、自分の糧にする作業は、人には必須。
 それを避けていると、考え方に柔軟性が失われます。
 そうなると、カネだけとは限りませんが、利益を生むチャンスが減ると思うのです。

 さて、今回。
 国会議員と右翼とマスコミが、広告費も払ってないのに勝手に宣伝したようなものです。
 この映画、知名度抜群になってしまいました。
 監督、大喜びでしょう。

 さて、私の住む関西では、第七芸術劇場というところが、全国のトップバッターを切って上映へ名乗りを上げました。

 とにかく、東京からやってくる権威主義的なイチャモンは、反射的にいてまえという関西人の体質そのまま。

 とりあえず、見てから考えたいと思うのです。

 しょせんは映画。
 払った映画代に見合うおもしろさだったか、そうでなかったか。
 どちらかしか、旗を揚げられません。

 靖国といえば、敗戦記念日の8月15日に毎年繰り広げられる光景で、日本人なら、たいていのイメージができています。

 中国人の視点で見ればファナティックであったとしても、私らにとっては、一種年中行事のようなものです。

 たとえていうなら、マスコミのスクープが空回りするような感じといえるでしょうか。
 記者がおもしろさを覚えて報じたそれが、実は世間的には手あかの付いた、周知の事実だったような情けなさ。

 そういうズレがあるかも、しれません。

 あるいは、プロパガンダなのかも知れません。

 何とも言えないのです。

 毒とわかっているのを飲むのは不合理ですが、市場へ出てきていない表現物なので、判断しようがないからです。

 さらに、映画が娯楽の王様だった時代はもう過去のもの。
 仮にプロパガンダだったとしても、相手の言い分で頭がいっぱいになってしまう人間がいたとしたら、それはだいぶ、日常生活で接触しているメディアが偏っているか、精神科の受診が必要な部類なのではないでしょうか。

 日本人、そこまでアホではないと信じます。
 事前規制するのは、子ども扱いするようなものです。

 なにかあったら会社が守ってくれるマスコミ。
 そこのサラリーマン記者がいう「表現の自由」でトラブルが起きたら、だれが責任持ってくれるという、映画館側の気持ちはわかります。

 マスコミが「市民を支える」と言ったって、自社の人間を上映期間中ずっと、警備員として映画館の前に並べてくれるわけじゃありません。

 そんなものに操を立てる必要はないと思います。

 要は、興行成績としてどうか。
 これだけ宣伝されたのだから、カネが入るかどうか。

 それだけで考えたらいかがでしょう。

 だいたい、自民の議員が、助成金出した文化庁に問い合わせたのがことの発端だったらしいですね。

 ということは、このままお蔵入りしたら、国会議員が検閲したも同然。
 ただでさえボロカスになっている政権与党。
 火種が増えるのは、望ましくないのでは?

 うやむやになってしまっているけれど、NHKと朝日のバトル。
 なぜ始まったのでしたっけね。

 議員という人種に学習能力はあるのでしょうか。
 どうして好んで地雷を踏みに行くのでしょう。

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 靖国描いた映画で極め付けに面白かったのは、土屋豊監督の「新しい神様」。
 出たのが1999年。
 なんと、主人公は、いまやフリーターの女神ともいわれている雨宮処凜です。

 靖国の神殿の前で「天皇陛下万歳」と叫んでいる彼女。
 カメラに追われ、インタビューに次ぐインタビュー。
 いつの間にか「アタシが好きなのは土屋さん?」と自問し始めます。

 傷つきながら生きてきた若い女の子が、自分を守ってくれる他者をほしがる痛々しさが、さらりと描かれています。

 なにより、雨宮処凜は天然ボケ。
 カメラを前にすると、やることなすこと全部トンチンカン。

 青春映画とも言えるし、ギャグ映画とも言える。

 いくつもの味がします。

 日本人が靖国を描くというと、どうしても死を絡めてしまいがち。
 ここまで軽妙に描いた映画が今まであったかいな、ええんかいな。
 何年か前に見た当時、そんな感想を抱いたことを思い出しました。

 近所のTSUTAYAにはありませんが、アマゾンではDVDもビデオも売られているようです。

 もういっぺん、銀幕で見たいなあ。

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